読書記録 2022年11月

 今月は、近代日本文学の名作の読み直しをしてみましたが、以前読んだ時とは違う感覚や視点を持つことができました。明治、大正、昭和の時代背景を色濃く含み、その中から人間の本質や自然との関りを物語の中で構築していく作者たちの力はやはりすごいと思いました。この時代の作品もまた注目していきたいところです。

 

11月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:664
ナイス数:63

注文の多い料理店 (角川文庫クラシックス)  注文の多い料理店   (角川文庫クラシックス)
人間は自然の世界に対して、対等あるいは小さなものであり、動物たちだけでなく、森や風や雪のような人間を越えるような自然の中の端っこでの生きている存在といて描かれている。それは、注文の多い料理店のように自分を越えた存在であったり、鹿踊りやかしわばやしや水仙月の雪童子のように、自分の知らない世界の法則があり大切にすべき世界観として輝いていた。(感想
読了日:11月20日 著者:宮沢 賢治


雪国 (新潮文庫)  雪国   (新潮文庫)
物語は昭和のはじめの越後湯沢を舞台としているが、冒頭の文章から、五感をはじめ、さまざまな情緒が鮮やかな色として、情景に映し出されている文章が読みやすく綺麗だった。苦労を知らない人生をただ生きているだけの男と、人生を懸命に生きている二人の女との、時々何かが引っ掛かる時の言葉の色に、何とも言えないきらめきが瞬いていた。(感想
読了日:11月09日 著者:川端 康成


斜陽  斜陽
仄かな明るさと深い暗さの漂うストーリーだったが、解説などで背景を知ることにより明るさ、暗さの源が登場人物から浮き上がっていることを知ることが出来た。少しひねくれているような人生の捉え方の裏にある、本当のその人の生き方というものへの理解も必要なものと感じた。(感想
読了日:11月01日 著者:太宰治

読書メーター